古本は高いほうに流れる

専門店と呼ばれるようなコアな古書店も、かつては店売りで一般書を扱っていることが多かったのですが、昨今では目録販売などに特化して、みんな店を閉めてしまいました。
めったに古書市場でも見かけないようなレアな本を扱っている古書店主が、まだ往来の人々を相手に商売していときには、「こんなに珍しい本を、近くに住んでいる人が持ってきたのですか?」とよく尋ねられることがあったそうです。
珍しい本がどうやってその分野を得意としている店の棚にたどり着くのでしょうか。それにはある秘密があります。
実は、古本には「高いほうに流れる」という性質があります。
例えば、誰もが売りたがる百科事典などは、たとえ巻号がそろっていても安くなってしまうことがあります。それはなぜかというと、その本を求める人よりも売りたい人が多くなってしまい、需要と供給のバランスの中でそのような値段がついてしまいます。
一方で、もう読まないような古い雑誌や、評論集などは高値が付くことがあります。
それはなぜかというと、例えば、戦後まもなくの雑誌などは、綺麗な状態で保存されていることが少ないので、完本で見つかった場合には古書業界の中では良品として扱われます。
また、評論集なども、それを求める人がいる場合、その人に高値をつけて売ることが可能になりますので、ある程度の値段が付くのです。古書店はある程度の高値になる覚悟でその本を手にいれ、それをまた別の形で売買するのです。
結局、一番売れる場所に本は流れることになります。それゆえに「本は高い方へ流れる」というわけです。ただやみくもに値段を上げているわけではなく、それはその本を最も必要とする人の手に届けるための、緻密な流通システムなのです。

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