古本の価格

古本業界の価格の相場は古本市場で取引される価格です。その時その時に変動が多少ありますがお互いにプロ同士なので信用性は高いといえます。この場合、一度の取り引きが直ちに相場になるわけではありません。相場を高くすることを目的に業界の人間関係を把握したり、それまでの取り引きの経過に注意を払ったりする必要があります。  すでに何度か出品されたことがあり、誰が売り手であっても一定の価格帯に収まっているものについては、市場ではいくらぐらいになるという共通認識が形成されています。 古書市場の取り引きは非公開です。記録も一部の大市を除いて残していないのが現状です。よって情報のない業者は落札価格がわかりません。噂や個人的な情報網でめぼしいものの価格は知られる ため、一般の人はおろか、組合非加盟の業者や、組合加盟の古書業者であってもその日の市に参加しなければなりません。

また、東京の市場の取扱高は、全市会をトータルしても年間数十億円程度です。多くの本が東京 に集まっていることを考慮すれば、全国の市場を合わせても、せいぜいその数倍程度でしょう。こ 取扱高が少ないということは、同じ品がいつも出ているわけではないことを表しています。実際に出品されなければ買うことはできません。出品されたときにはじめて、古書市場で相場が形成される本は、実は出版物のなかのごく一部です。

あなたの蔵書量はどれくらい?

 これから古本屋を始めようというあなた、本の在庫はお持ちでしょうか? 自分の蔵書を売る方もいれば、祖父や父親の蔵書がたまたま家にいっぱいあるから、 古本屋でもという方もいるでしょう。

 通販で売るにしても、店を開くにしても、最低一万冊はないと、見栄えはしませんし、お 客が選ぶだけの量にはなりません。 そんな人達が増えたことに驚きを隠せません。

 今でも、古本屋に行くと、若い人達がスマートフォンを片手にセドリをしている光景を目にします。最近では、古本屋にもいい本が入りにくくなっていますが、若者たちは、ネットで調べた価格を一冊ずつ確認しながら入れていくのです。そんな人達が増えたことに大変驚いています。

 百円均一の本の中から本を選び、その本を持ち帰って、ネットで売る。気の遠くなるような作業を彼らは行っています。なにせ、一冊一冊を確認しているのですから。

 あるネット販売の倉庫には、五万冊もの蔵書があり、それをコンピュータで管理しているといいます。それと比べてしまえば、古本屋でのセドリなどは実際には小遣い稼ぎにしかならないのです。月十万円を稼ぐのだって一苦労なのです。これではとてもじゃないけれども、生活できるレベルにはならないでしょう。

 また、すべての本が売り切れるわけではありません。半分以上は外れです。月に千冊を買って、古本屋に十万円を支払ったあなたの月の売り上げは、在庫の一割もないのです。

 在庫回転率も考えなければなりません。生鮮食品のように毎日売り切るものもありますが、古本に関して言えば、一年で在庫がすべて無くなるような回転率ではありません。

 二年も三年もかかるときもあるのです。それらの状況を常に頭の片隅に置いて、仕入れの金額等も予算に入れて在庫倒れしないようにしなければならないでしょう。

古本は高いほうに流れる

専門店と呼ばれるようなコアな古書店も、かつては店売りで一般書を扱っていることが多かったのですが、昨今では目録販売などに特化して、みんな店を閉めてしまいました。
めったに古書市場でも見かけないようなレアな本を扱っている古書店主が、まだ往来の人々を相手に商売していときには、「こんなに珍しい本を、近くに住んでいる人が持ってきたのですか?」とよく尋ねられることがあったそうです。
珍しい本がどうやってその分野を得意としている店の棚にたどり着くのでしょうか。それにはある秘密があります。
実は、古本には「高いほうに流れる」という性質があります。
例えば、誰もが売りたがる百科事典などは、たとえ巻号がそろっていても安くなってしまうことがあります。それはなぜかというと、その本を求める人よりも売りたい人が多くなってしまい、需要と供給のバランスの中でそのような値段がついてしまいます。
一方で、もう読まないような古い雑誌や、評論集などは高値が付くことがあります。
それはなぜかというと、例えば、戦後まもなくの雑誌などは、綺麗な状態で保存されていることが少ないので、完本で見つかった場合には古書業界の中では良品として扱われます。
また、評論集なども、それを求める人がいる場合、その人に高値をつけて売ることが可能になりますので、ある程度の値段が付くのです。古書店はある程度の高値になる覚悟でその本を手にいれ、それをまた別の形で売買するのです。
結局、一番売れる場所に本は流れることになります。それゆえに「本は高い方へ流れる」というわけです。ただやみくもに値段を上げているわけではなく、それはその本を最も必要とする人の手に届けるための、緻密な流通システムなのです。

新古書店の今後

新古書店は一般書の専門店です。大量に同じ本があることが前提になっています。大量出版時代は1970年代からおよそ20年間でした。この間に蓄積された同じ本が新古書店を誕生させたのです。しかし、それらは次第に減っていくことでしょう。ごく一部のベストセラーを除けば、当時人気のあった作家の本も数千部程度の発行部数しかないケースも珍しくありません。そろそろ大量出版時代を使い果たした新古書店が発見型総合古書店へとシフトする時代がやってくると考えられます。同じ本が市場にあふれたことは、新古書店に隆盛をもたらしましたが、機械的に値付けをされていたので、内容まで問われることはありませんでした。これからは、読みたくない本はたくさんあるけど、読みたい本はなかなか見つからないといった時代がやってきます。そういう本は発行部数が少ないので、一旦逃すとなかなか巡り会えません。それだけ、古本の選書眼が重要になってきます。本のキューレターとして古本屋が果たす役割はますます大きくなっていくことでしょう。

売れ筋の古本

古本は、市場では高く入札すれば、誰でも仕入れることができます。逆にいえば、ほかの人より高く入札しなければ、何も買えないわけです。つまり、最も高い値段で仕入れることになります。 出品者もまた百戦錬磨の古本業者です。ぼやぼやしていると、売れ残りを高値でつかまされるこ ともあるでしょう。市場には「自店でいらないもの」を出品することが多いからです。お店での販売に向かない分野の本か、そうでなければ重複した本、または長期間売れなかった本を持ち寄って いるのです。誰もが簡単に商売になる売れ筋の本は、そう簡単に出てくると思わないほうがいいでしょう。

 

リアル書店とネット書店

古本屋にはいろいろな種類や形式があります。 実際の店舗はもたずに、ウェブサイト上にネット書店を開いているケースがあります。古本買取のビジネスをそこから商売を始めよる人もいるでしょう。また、店舗はおろか、ウェプサ イトも作成せずに、手持ちの本をWEB上のマーケットプレイスなどで出品して、売っていこうと考えている人もいるでしょう。
リアル書店であれネット書店であれ、古本の仕入れはどでしょうか。古本屋で商売を始めたら、古書組合に入り、市場に商品になる古本を買いにいけばいいですが、 市場では、一番高い値を付けた人がその品物を購入できます。リアルの店舗では商品を購入する権利を 得られるのです。それとは反対に、WEB上の中古品市場をみるとわかるように、そこはいちばん安い売り値を付けた売り手が有利になる世界です。

全集や百科事典

古本には、「高いほうに流れる」という性質があります。 全集や百科事典のような「揃い物」は、1960年代後半から80年代前半にはたいへん人気が高いものでよく売れました。応接間の壁を占める全集類には、その家の主人がいかに知的で文化を大切にする人物であるかを示す役割がありました。だから、その当時セールスマンから、同僚と競って歴史や美術の全集を買い求めたのです。子どものために、英語の百科事典や 毎月送られてくる絵本のシリーズなどを契約していました。 新聞社などが限定と銘打って刊行した「豪華本」も同様で、巨大な本もあります。こうした本は所有することにこそ意味があり、どの家でも、実際にページがめくられ ることはほとんどなかった様に思います。